舘野泉ピアノ協奏曲と委嘱曲世界初演演奏会写真=カイヤ・サーリアホ(©Maarit Kytoharju)、舘野泉(©満田聡)

2008年4月5日(土)17:00
〈オープニング・ガラ・コンサート〉〜舘野泉ピアノ協奏曲と委嘱曲世界初演演奏会〜

フィンランドの作曲家カイヤ・サーリアホの新作『レイノ・ソングス』委嘱。フィンランドのソプラノ歌手、アヌ・コムシを起用。ソリストには左手のピアニストとして復活を遂げ、世界中で活躍する舘野泉を迎える。

指揮=エルネスト・マルティネス・イスキエルド
ソリスト=舘野 泉(ピアノ)、アヌ・コムシ(ソプラノ)
管弦楽=京都市交響楽団

曲目=
サーリアホ:オリオン
サーリアホ:レイノ・ソングス(エイノ・レイノの詩による歌曲・世界初演)
ラベル:左手のためのピアノ協奏曲
シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 作品43

■オリオンについて
初演:2003年1月23日アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランド
委嘱者:クリーブランド管弦楽団
演奏:フランツ・ウェルザー=メスト(指揮)&クリーヴランド管弦楽団

 現代北欧を代表する女性作曲家カイヤ・サーリアホはシベリウス音楽院を卒業し、パリの電子音楽センター(IRCAM)で研鑚(けんさん)を積んだ。イタリア賞、北欧協議会音楽賞など受賞歴多数。近年はオペラの分野に転じ、非常な成功を収めている。日本の聴衆には、ラトル=ベルリン・フィルのCD「ホルスト:〈惑星〉」に収録された〈小惑星4179トゥータティス〉が話題となった。今回、世界初演となる新作〈レイノ・ソングス〉は、新民族ロマン主義を代表するフィンランドの詩人エイノ・レイノの詩に作曲したもので、フィンランド放送交響楽団、ポルト市(ポルトガル)、大阪国際フェスティバルの三者による委嘱作品である。新作を歌うアヌ・コムシは、フィンランド出身のソプラノ。その多才さとダイナミックなコロラトゥーラは高い評価を受け、広く欧米で活躍している。ヘルシンキ在住のピアニスト舘野泉は、わが国を代表するピアニストの一人である。2002年、フィンランドでの演奏会終了直後、脳溢血(のういっけつ)で右半身が不自由となる。ご子息の持参した左手のためのピアノ曲の楽譜をきっかけに、2004年、左手だけの演奏で復活を遂げた。以来、第一線の作曲家たちから作品が献呈されはじめ、左手による演奏活動を続けて、幅広い層の聴衆から熱い支持を得ている。京都市交響楽団は、1956年、日本で唯一の自治体直営のオーケストラとして設立。2001年から大友直人が第11代常任指揮者として現在に至る。

大橋マリ(音楽ジャーナリスト)

 来年2008年、第50回を迎える大阪国際フェスティバルは、これを記念してパリ在中のフィンランド人女流作曲家カイヤ・サーリアホ(1952 - )に新作の管弦楽作品を委嘱、4月5日のオープニング・コンサートで京都市交響楽団により世界初演される。サーリアホは2000年にザルツブルク音楽祭で初演された歌劇「彼方からの愛」の大成功により国際的な認知を獲得し、世界中の主たるオーケストラ、オペラハウス等から発注が殺到する人気作曲家。今現在新作を依頼したとして、早くとも2012年まで待たねばならないほどスケジュールは多忙をきわめる。
 委嘱作はソプラノと管弦楽による「レイノ・ソングズ」。19世紀末から20世紀初頭に活躍したフィンランドの国民的詩人エイノ・レイノ(1878-1926)の作品から、4編の詩が選ばれている。「人の心のうつろいを切り詰めた表現で喩えたレイノの詩は、それ自体が音楽のような響きを持つものです。性格の異なる4編ですが、それぞれに深い情感を呼び起こします。日本の皆さんの心にも響きあうものと思います。」とは親日家でもあるサーリアホの言。心にダイレクトに語りかけてくるサーリアホ作品の出来あがりが期待できる。また、この作品を献呈されているソリストのソプラノ、アヌ・コムシ、そして今回が初来日となる指揮のエルネスト・マルティネス・イスキエルドは、ともにサーリアホ作品のスペシャリストであり、いかに難解な現代曲であろうと心からの表現として繰り出すことのできる希有な音楽家たちであると賛辞をおしまない。
 開幕公演では他にクリーヴランド管弦楽団が2002年に委嘱した管弦楽「オリオン」、シベリウスの交響曲第2番、舘野泉をソリストとするラヴェルの左手のための協奏曲が披露される。